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リカレントサミット in 札幌に参加しました

地域と連携したリカレント教育・社会人教育の取組を全国的な視点から共有し、今後の地域共創型プログラムの展望について議論することを目的として、「リカレントサミット in 札幌」に参加しました。

はじめに

LEAP ARROWSでは、組織の教育/学習を「実施して終わり」ではなく、
現場で成果につながり続ける仕組みとして根づかせることを重視しています。
その実現に向けて、企画から運用まで伴走しています。

一方で、変化の激しい時代に

「大学や学生は、いま何を学び、何を教え、どう社会と接続しようとしているのか?」

を確かめたくなりました。
この問いを持って参加したのが、北海道大学 大学院教育推進機構 リカレント教育推進部が開催(2026/1/28[水])した
「リカレントサミットin札幌〜地域共創型プログラムの実践と展望」です。

本コラムでは、イベント概要と当日の主要テーマを整理しつつ、サミットから見えた
「これからの教育・学習の論点」についてまとめます。

イベント概要

本サミットは、地域と連携したリカレント教育・社会人教育の取組を全国的な視点から共有し、
今後の地域共創型プログラムの展望について議論すること
を目的に、招待制で開催されました。

当日は、北海道大学関係者のほか、リカレント教育や地域連携に関わる13大学および2つの国立大学機構の関係者、
さらに札幌市や企業等からの参加もありました。 

冬の屋外に設置された『リカレントサミット in 札幌』の案内看板。日時や主催・共催情報が記載されている

どんなテーマで話し合われたか(3つの視点)

今回、個人的に特に印象に残った内容を、3つの視点で整理します。
同じ「リカレント」というテーマでも、“何を学ぶか”と同時に、“どう学びを社会に実装するか”という設計思想が、
各事例から立ち上がってきました。

1)共生を「理念」から「実装」へ:札幌市×北海道大学の連携

札幌市と北海道大学の連携による、市民参加型の取り組み(共生をテーマにしたワークショップ等)の事例は、
「共生」を単なるスローガンにせず、当事者性が育つ“場”として成立させることの重要性を示していました。

なお、この連携事例については、私も一部関与したプロジェクトであり、過去にイベントレポートとして公開しています。

グラフィックレコーディング『①北海道大学』。地域連携・共生社会・リカレント教育のキーワードが描かれている。

関連記事: 札幌市 × 「共生のまちづくり」|レゴ®シリアスプレイ® メソッドと教材を活用したワークショップ

2)人口減少に向き合う「地域の学びのエコシステム」:熊本大学の取り組み

熊本大学の金岡省吾副学長(地方創生・地域連携担当)からは、人口減少や地域産業の課題を背景に、
地域に“人が戻る/関わり続ける”ための学びの仕組みをどう作るか、という実装の話が語られました。

  • 地域の若手(30〜40代)を中心に、地域課題と企業課題を統合して事業化を考える学び
  • 金融機関・自治体・企業などを巻き込み、地域で動く人材(プロジェクトマネージャー)を育てる設計
  • 都会企業と地域現場をつなぎ、相互理解と共創を生む“出会いの場”をつくる
  • 高校〜大学〜社会人へと接続し、地域への愛着や関与を育む(“エコシステム”として捉える)

“リカレント”という言葉は、ときに「学び直し=スキル更新」に寄りがちです。
一方で熊本大学の話は、学びを「地域の未来像に接続し、関係者が動く仕組み」にする。
その視点が強く、学習を社会の運用(マネジメント)まで含めて捉える必要性を感じました。

3)地域課題と学びを「接続」する:愛媛大学の取り組み

地域共創型プログラムの文脈では、「学びの中身」だけでなく、地域の課題・関係者・実践の場とどう接続するかが焦点になります。サミットの趣旨説明でも、大学単体では実情に即した人材育成が難しく、自治体や産業界との連携が必然であることが示されていました。 

愛媛大学の事例からは、まさにその「接続」を前提に、地域に根ざした人材育成を組み立てていく発想が読み取れました。

グラフィックレコーディング『④愛媛大学』。地域協働と人材育成、プログラム設計・連携の流れが図解されている。

ワークショップ

本サミットでは、参加者同士の対話を通じて「地域共創型プログラム」の現在地と、
今後の方向性を整理するワークショップが行われました(5〜6名×6テーブル程度)。
テーブルごとに議論を深め、最後にグラフィックレコーディング(グラレコ)で全体共有することで、
論点を“見える化”しながら合意形成を進める構成でした。

ワークショップ前半:地域共創型プログラムの現在地

前半は「いま、私たちの地域/大学/企業で何が起きているか」を持ち寄り、現状の取り組み・課題・工夫を交換しました。
各テーブルでは、参加者がそれぞれの実践(プログラム設計、運営、連携づくり、受講者支援など)を共有し、共通点と違いを整理。

話題は、地域の中での学びをどう成立させるか、関係者(大学・自治体・企業・学習者)の役割分担、
成果の捉え方(学びの“アウトカム”をどう言語化するか)といった点に自然と集まりました。

特に印象的だったのは、単に事例紹介にとどまらず、
「何が価値になっているのか」「誰にとっての価値なのか」を問い直す対話が多かったことです。
地域共創は、関係者が多いぶん、目的や言葉がズレやすい。だからこそ“共通言語化”や、
共有の場を定期的に持つ重要性があらためて確認されました。

ワークショップ全体を通じて浮かび上がったのは、地域共創型プログラムは“良い取り組み”であるだけでは前に進みにくく、
継続の仕組み/価値の可視化/共通言語といった“運用設計”が不可欠だということです。
サミットは、その設計論を参加者同士で磨き合う場として機能していました。

ワークショップ後半:私たちはどこへ向かう?

後半は、前半で出た論点を踏まえつつ、「次に何をつくるか/どう進めるか」という未来志向の議論に移りました。
理想論のスローガンではなく、“次の一歩”として現実的に動かせるアクションに落とすことを意識しながら、
各テーブルが方向性を言語化。議論の中心は、次のような問いに集約されていきました。

  • 地域共創型の学びを、地域の中でどう“継続”させるか
  • 取り組みの価値を、外部にも伝わる形でどう“可視化”するか
  • 関係者が増えるほど難しくなる合意形成を、どう設計するか
  • 学びの成果を「個人の成長」だけでなく「地域・組織の変化」まで含めてどう捉えるか

リカレントサミットin札幌のワークショップで共有されたグラフィックレコーディング。地域共創型プログラムの現在地や次の一歩を『可視化・共有し、一緒につくる』メッセージでまとめた模造紙。

当日の対話を通じて見えてきたこと

今回のサミットを通じて見えたのは、特定の組織や制度の問題というより、教育・学習を取り巻く環境が変化する中で、
誰もが直面する論点でした。

1)学びを「単発」で終わらせない継続設計

場やプログラムは作れても、学びが現場で使われ続ける状態(実践→振り返り→共有→次の挑戦)をつくるには、
継続設計が欠かせません

2)知を“現場で使える形”にする翻訳・伴走

専門知が増えるほど、「わかる」より「使える」が重要になります。
知を翻訳し、関係者の間で共通理解に変え、前に進める伴走(対話・合意形成)の価値が増していきます。

3)学びの機会をどう“届けるか”

地域・都市、働き方、家庭状況などにより、学びへのアクセスは偏りやすい。
届け方(時間設計・場・機会づくり)をどう組み立てるかが、学習の裾野を左右します。

4)成果の可視化(単位・資格以外の価値)

学びの価値は、単位や資格だけでは測りきれません。
現場の変化、関係性の変化、プロジェクトの前進といった“成果”を、どう言語化し共有可能にするかが問われます。

5)スキル偏重にならず、対話・倫理・人間性と両立する

変化が激しいほど、正解のない課題が増えます。
価値観の異なる他者と対話し、合意形成し、意思決定し、実装する。
学びは“両利き”が前提になっていきます。

私たちが持ち帰った問い

  • 学びを“研修・講座”で終わらせず、現場で回る仕組みにするために、誰が何を担うべきか?
  • 理念や方針を、継続する「場」と「行動」に落とし込む設計はできているか?

サミットの趣旨にもある通り、地域共創型の取り組みは各地で進んでいる一方、実践知を共有し合う機会はまだ多くありません。
だからこそ、今回のような場で得た示唆を、各現場の設計に持ち帰り、試し、学び直していくことが重要だと感じています。

おわりに

LEAP ARROWSは、組織の学習を「実施」から「定着・実装」へ進めるために、学習設計、場づくり、対話、伴走の観点から支援しています。
今回得た示唆も踏まえ、変化の激しい時代において、学びが個人・組織・地域の前進につながる形を、引き続き探究していきます。

掲載画像は、許諾を得て使用しております。

関連リンク

実施報告:リカレントサミットin札幌を開催しました | 北海道大学リカレント教育プログラム