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“仕事の意味合わせ”ができない組織に共通する3つの症状

はじめに:なぜ「仕事の意味」が揃わないと組織は動かないのか

離職が増える、部下が動かない、DXが進まない。
見まったく別の課題のように見えても、その根っこに「仕事の意味の捉え方が揃っていない」 という共通点があります。
本稿では、“意味が揃わない組織に起きる3つの症状” を整理し、明日から始められる対策も紹介します。

仕事とは

  • 何のためにやるのか(目的)
  • どういう状態を目指すのか(理想)
  • 何を優先して進めるのか(判断基準)
が揃っていなければ、同じ会議にいてもそれぞれが別の景色を見たまま話している状態 になります。
本稿では、組織で起きがちな“意味のズレ”を 3つの症状 として整理し、その背景にある構造と、現場でできる処方箋を紹介します。

1. 症状①:目的の解釈が人によって違う

同じプロジェクトでも、こんなズレがよく起きます。

  • 管理側:「効率化のためにDXを進めたい」
  • 現場側:「効率化より、お客様対応が最優先」
  • 若手:「経験を積みたい」

まずは、もっともよく起きる「目的のズレ」の構造を図で整理します。

推進側と現場が異なる未来を見ていることで、仕事の意味が揃わず摩擦が生まれる構造を説明した図。推進側が前のめりで現場が慎重なパターンA、現場は変わりたいのに管理層が動かず離職につながるパターンBの2種類を示し、双方が異なる方向を向くことでギャップが生まれる様子を視覚化している。

つまり同じ目的が、人によって“別の意味”で理解されている状態です。
これは「意欲の差」ではなく、目的をどう解釈しているかの差 によって起こります。
目的のズレが放置されると、

  • 優先順位が揃わない
  • 会議がかみ合わない
  • “やらされ感” が生まれやすい

という現象につながります。

2. 症状②:役割と期待が揃っていない

管理層が想定している役割と、現場が認識している役割が異なることで期待のズレが蓄積する構造を示す図。左側に管理層の期待(改善提案、主体的判断、組織全体視点)、右側に現場の認識(指示範囲の遂行、勝手に判断しない、自部署の確実な運用)が並び、中央に「役割理解のズレが期待のズレを生む」と表示されている。
人が動けなくなる理由の多くは、能力不足ではなく「役割」と「期待」 のズレです。

たとえば、

  • 上司は「主体的に提案してほしい」
  • 本人は「まずは指示に沿って確実に動くのが役割だと思っている」

このように 求める姿・期待の大きさ・判断基準 が一致していないと、行動が噛み合わず、お互いに不満が蓄積していきます。
役割が曖昧なまま進めると、次のような問題が起きます。

  • 「どこまでやればいいのか」が分からず、動きが遅くなる
  • 上司は「任せたつもり」、本人は「任されていないつもり」
  • 責任範囲が曖昧で、成果が評価されない

これは 組織の構造的不整合 であり、個人の問題ではありません。

3. 症状③:問題に対する“見立て”がバラバラ

仕事が前に進まないチームには、見立て(いま何が起きているかの解釈) が揃っていないという特徴があります。
例えば離職の原因ひとつ取っても、

  • Aさん:「仕事量が多いから辞める」
  • Bさん:「人間関係の問題が大きい」
  • 管理側:「スキル不足だと思っている」

現場のメンバーが「言っても伝わらない」と感じることで関係性にズレが生まれ、相談しづらさや本音が出ない状態、誤解の放置、情報が途中で止まるといった問題が積み重なり、最終的に離職につながる流れを示す図。

この状態では、対策を打とうとしてもそれぞれが別の問題を解決しようとしてしまう ため、効果が出ません。
見立てがズレると

  • 打ち手がバラバラになる
  • 同じ努力でも成果が出ない
  • 不満が積み重なり、離職につながる

といった“負の連鎖”が発生しやすくなります。

4. なぜ“意味合わせ”が必要なのか

意味合わせとは、「目的」「役割」「見立て」をそろえること です。
これは “きれいごと” ではありません。
組織にとっては 最も生産性に影響する土台 です。

私たちが支援の現場で重視しているポイントは以下の3つです。

① 目的(Why)を言葉で揃える

  • この仕事は何のために存在しているのか
  • 今、何を変える必要があるのか
  • どんな状態を理想とするのか

たった30分の対話でも、驚くほど噛み合いが改善します。

② 現状(As-Is)と理想(To-Be)を可視化する

人は“見ている景色”が違うと、判断が揃いません。

  • どの部分に課題があるのか
  • どの状態を目指すのか
  • 何ができていて、何ができていないか

これを可視化するだけで、会議の質は大きく変わります。

③ 合意形成の階段をつくる

いきなり全員で大改革を進める必要はありません。

  • 小さく試す
  • 振り返る
  • 次の一歩を決める

この“階段”をつくることで、抵抗感は大きく減ります。

5. 明日から始められる「意味合わせの一歩」

今日からできる小さな取り組みを3つ紹介します。

① 目的を30分だけ話し合う

問いはこれだけで十分です。

「この仕事は、誰にどんな価値を届けるためのものか?」

② いまの仕事の“物語”を書き出す

  • うまくいっていること
  • 困っていること
  • 理想の姿

を共有すると、意味が揃いやすくなります。

③ 小さな単位で改善を試す

大きな改革より、小さな成功体験の積み重ね の方が動きます。

6. 自力で揃わないと感じたら

意味合わせは、意外と“内輪だけ”では難しいものです。

LEAP ARROWSでは、以下のようなテーマに対応しています。

  • 目的の意味合わせワークショップ
  • 役割・期待の整理
  • 見立ての統合(対話の設計)
  • 小さく試す進め方の伴走
  • 組織開発・チームづくり支援

組織が動き出すのは、意識ではなく「意味」が揃ったとき です。

“意味が揃わない組織は、努力していても前に進まない。”

だからこそ、最初の一歩は「見えている未来を揃えること」。
ここが合うだけで、改善のスピードが目に見えて変わります。